【注意喚起】特定技能の偽造合格証による不許可事例について
特定技能・注意喚起
特定技能の偽造合格証による不許可事例
特定技能の在留資格更新許可申請において、 偽造された技能評価試験の合格証 が提出され、不許可となる事例がありました。
本件では、過去に行われた転職に伴う在留資格変更許可申請では、 合格証について特段の指摘はなく、在留資格の変更が許可されていました。
しかし、今回の更新審査において改めて確認が行われ、 合格証の偽造が判明したものです。 特定技能制度に関わる行政書士、登録支援機関、受入れ企業にとって、 合格証の確認方法と近時の審査動向を改めて考える必要がある事例です。
今回の事例で起きたこと
特定技能の在留資格を取得するためには、原則として、 希望する分野の技能評価試験と日本語試験に合格する必要があります。
申請時に提出された合格証が偽造されたものであった場合、 特定技能の資格要件を満たしていることを確認できず、 在留資格申請が不許可となる可能性があります。
過去の在留資格申請で許可を受けている場合であっても、 提出書類の真正性や資格要件が将来の申請でも保証されるわけではありません。
前回の申請で許可されていても安心はできない
本件では、今回の更新申請より前に、 転職に伴う特定技能への在留資格変更許可申請が行われていました。
その際には、技能評価試験の合格証について特段の指摘はなく、 在留資格の変更が許可されています。
しかし、今回の在留期間更新許可申請では、 過去に提出された資格関係資料も含めて確認が行われ、 合格証が真正なものではないことが判明しました。
過去に許可されたという事実は、 提出書類の真正性について入管が将来にわたって保証したことを意味しません。
特定技能の審査は厳格化・適正化の傾向
従来、日本語試験の合格状況については、 すべての申請で試験実施機関への照会が行われていたわけではなく、 必要に応じて一部の申請について確認する運用にとどまっていました。
しかし、偽造された合格証によって特定技能の在留資格が認められる事案が発生したことから、 出入国在留管理庁は、2026年1月から日本語試験について、 特定技能の申請者全員の合格状況を試験実施機関へ照会する運用を開始しています。
技能試験の合格証についても、 全件で合格状況を照会する方向で、 各試験の所管省庁などとの調整が進められています。
近時の審査では、提出書類の記載内容だけでなく、 過去の申請内容との整合性、資格取得の経緯、 実際の受験事実などについて、 より丁寧な確認が行われる傾向があります。
これは単なる審査の厳格化というよりも、 制度の不正利用を防止し、本当に資格要件を満たす外国人を 適正に受け入れるための審査の適正化と捉えるべきです。
「以前の申請で問題にならなかったから、今回も大丈夫」 という判断は危険です。
合格証の見た目だけでは判断が難しい
現在、行政書士、登録支援機関、受入れ企業などが、 すべての技能試験について、合格情報を直接確認できる 統一的な仕組みが整備されているわけではありません。
合格証の様式や記載内容を確認することはできますが、 見た目だけで偽造の有無を完全に判断することは困難です。
氏名、受験番号、合格日などが精巧に編集されている場合には、 通常の書類確認だけで偽造を見抜くことが難しいケースもあります。
合格証確認の5つのポイント
合格証だけを形式的に確認するのではなく、 本人への聞き取り、受験関係資料、公式画面などを組み合わせて、 本人が実際に受験し、合格した事実を確認することが重要です。
本人が実際にCBT試験を受験したか
本人が試験会場へ行き、 パソコンを使用したCBT方式の試験を実際に受験したか確認します。
受験日・試験当日の流れを説明できるか
受験日、試験会場、受付方法、本人確認、 試験開始から終了までの流れを具体的に説明できるか確認します。
受験の経緯を確認できる資料があるか
受験予約メール、受験票、受験確認書、 受験料の支払記録などが残っているか確認します。
本人のマイページや公式画面で合格結果を確認できるか
紙やPDFの合格証だけではなく、 本人のマイページや試験実施機関の公式画面にログインし、 氏名、試験名、受験日、受験番号、合否などを確認できるか確認します。
試験実施機関への照会が可能か確認する
疑義がある場合には、受験番号などを基に、 試験実施機関が照会窓口や確認方法を設けているか確認します。 照会を行う際は、本人の同意や試験実施機関の所定の手続が必要となる場合があります。
CBT方式では試験終了時に結果が表示される
特定技能の技能評価試験の多くは、 パソコンを使用するCBT方式で実施されています。
CBT方式で実施される試験では、 試験終了時にパソコン画面へ結果が表示され、 受験者本人がその場で結果を確認できるものがあります。
そのため、実際に受験した本人であれば、 試験終了後にどのような結果が表示されたのか、 合格であることをいつ確認したのかについて、 通常は説明できると考えられます。
正式な結果通知書は、受験後に試験実施機関のマイページなどから 閲覧または印刷する仕組みとなっています。
重要ポイント① 本人のマイページ・公式画面で確認する
偽造対策として特に有効なのが、 本人のマイページや試験実施機関の公式画面を確認する方法です。
紙の合格証やPDFファイルは、画像編集などによって加工される可能性があります。 一方、本人のアカウントで公式サイトへログインし、 システム上に表示された試験結果を確認できれば、 単に提出された合格証だけを見る場合よりも信頼性の高い確認ができます。
確認の際は、合否だけでなく、 氏名、試験名、受験日、受験番号、 合格証や結果通知書の発行状況なども照合します。
確認時の注意点
本人のIDやパスワードを預かるのではなく、 原則として本人自身にログインしてもらい、 本人立会いのもとで公式画面を確認する方法が適切です。
スクリーンショットだけでは加工の可能性を完全に排除できないため、 可能であれば、その場で公式サイトへアクセスして確認します。
重要ポイント② 試験実施機関への照会方法を確認する
マイページを確認できない場合や、 合格証と本人の説明に食い違いがある場合には、 試験実施機関へ照会できるか確認することも重要です。
受験番号、氏名、生年月日、受験日などを基に 合格状況を確認できる窓口が設けられている場合には、 試験実施機関が定める方法に従って問い合わせます。
ただし、行政書士、登録支援機関、受入れ企業からの照会に、 すべての試験実施機関が回答するとは限りません。 個人情報保護の観点から、本人の同意書や本人からの問い合わせを 求められる場合もあります。
そのため、「必ず照会できる」と考えるのではなく、 まずは各試験実施機関の公式サイトで、 合格確認の方法、問い合わせ窓口、本人同意の要否などを確認します。
照会時に整理したい情報
- 本人の氏名・生年月日
- 試験名・試験区分
- 受験日・試験会場
- 受験番号・予約番号
- 本人同意書など、試験実施機関が求める資料
関係者に求められる確認
行政書士
過去に同じ合格証で許可を受けている場合でも、 その事実だけをもって真正な書類であると判断しないことが重要です。
本人への聞き取り、受験関係資料、 本人のマイページや公式画面などを可能な範囲で確認し、 疑義がある場合には試験実施機関への照会方法の有無も確認します。
登録支援機関
試験の受験日、試験当日の流れ、試験終了時の結果などを本人から聞き取り、 受験予約メールやマイページの結果表示を可能な範囲で確認することが望まれます。
受入れ企業
採用面接時に、試験の受験時期、試験会場、 試験内容や結果について本人へ確認するとともに、 必要に応じて公式画面で合格状況を確認することで、 提出された合格証と本人の説明に食い違いがないかを確認できます。
合格証確認チェックリスト
- ✓ 過去に許可を受けていることだけを理由に、合格証が真正であると判断していないか
- ✓ 本人が実際にCBT試験を受験したか
- ✓ 本人が受験日・試験当日の流れを具体的に説明できるか
- ✓ 受験予約メールや受験票など、受験の経緯を確認できる資料があるか
- ✓ 本人のマイページや試験実施機関の公式画面で、合格結果を確認できるか
- ✓ 必要に応じて、受験番号等を基に試験実施機関へ照会できるか確認したか
専門家としての見解
本件で重要なのは、偽造合格証が今回初めて提出されたわけではなく、 過去の在留資格変更許可申請でも使用されていたにもかかわらず、 当時は問題が表面化しなかった点です。
しかし、入管の許可は、提出されたすべての書類の真正性を 将来にわたって保証するものではありません。 後の申請で過去の資料が再確認され、 新たに問題が発見されることがあります。
近時は、特定技能制度の適正な運用を確保するため、 試験合格の事実、過去の申請内容との整合性、 雇用実態や支援実施状況などについて、 審査がより丁寧に行われる傾向があります。
行政書士、登録支援機関、受入れ企業が 偽造を完全に防ぐことには限界がありますが、 合格証の見た目だけで判断せず、 本人への聞き取り、受験関係資料、マイページの公式画面を 組み合わせて確認することは可能です。
特に、本人のマイページや公式画面で合格結果を確認することは、 紙やPDFの合格証だけを確認する場合よりも、 合格事実を確認するうえで有効な方法です。
さらに疑義が残る場合には、 試験実施機関に照会窓口や確認方法があるかを調べ、 本人の同意を得たうえで、所定の方法による確認を検討する必要があります。
「合格証がある」「前回の申請で許可されている」という事実だけで判断せず、 公式画面や照会可能性を含めて、合格の事実を可能な範囲で確認することが重要です。
まとめ
特定技能の在留資格更新許可申請において、 偽造された技能評価試験の合格証が提出され、 不許可となる事例がありました。
本件では、過去の転職に伴う在留資格変更許可申請でも 同じ合格証が提出されていましたが、 当時は特段の指摘がなく、変更が許可されていました。
しかし、今回の更新審査で改めて確認が行われ、 合格証の偽造が判明しています。 過去に許可された書類であっても、 後の申請で問題が発見される可能性があります。
近時は、日本語試験の合格状況の全件照会をはじめ、 特定技能制度の不正利用を防ぐための 審査の厳格化・適正化が進んでいます。
合格証を確認する際には、 本人が実際にCBT試験を受験したか、 受験日や試験当日の流れを説明できるか、 受験予約メールや受験票などが残っているかを確認することが重要です。
さらに、本人のマイページや試験実施機関の公式画面で 合格結果を確認することができれば、 紙やPDFの合格証だけを見る場合よりも、 合格事実をより確実に確認できます。
疑義が残る場合には、受験番号などを基に 試験実施機関へ照会できる制度や窓口があるかを確認し、 本人の同意や所定の手続を踏まえて対応することも検討すべきです。
「前回の申請で許可されているから問題ない」と考えるのではなく、 申請の都度、資格要件とその前提となる受験・合格の事実を 改めて確認する姿勢が求められます。
特定技能の在留資格申請・外国人材の受入れについて
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