在留外国人向け「日本語・生活学習プログラム」創設へ 焦点となる受講費用の負担
外国人政策・社会統合
在留外国人向け「日本語・生活学習プログラム」創設へ
受講費用は誰が負担するのか
政府は、在留外国人が日本語や日本社会のルールを学ぶ 「日本語・生活学習プログラム(仮称)」 の創設に向け、有識者会議を設置し、本格的な検討を始めました。
令和10年度にも試行を開始する方針で、学習内容や対象者、実施方法に加え、 受講費用を外国人本人、受け入れ企業、国のうち誰が負担するのかが重要な論点となっています。
日本語・生活学習プログラムのポイント
政府は、これまで自治体や地域に偏っていた外国人の社会統合支援について、 国が責任を持って制度を整備し、「秩序ある共生」に向けた社会インフラを構築する考えです。
日本語・生活学習プログラムとは
外国人住民が、その国の言語や社会制度、生活ルールなどを体系的に学ぶ制度は、 一般に「社会統合プログラム」と呼ばれています。
欧米などでは、移民や長期滞在者を対象に、言語教育だけでなく、 法制度、社会規範、生活習慣、地域社会でのルールなどを学ぶ仕組みが設けられています。
この記事から分かること
今回の動きは、日本の外国人政策が、在留資格の付与や雇用管理だけでなく、 外国人が日本社会の一員として生活するための学習支援へ踏み込むことを示しています。
- 政府が外国人の社会統合に関する全国的な制度を検討している
- 日本語だけでなく、日本の社会規範や生活ルールも学習対象となる
- 永住許可や長期滞在資格の申請条件とすることも検討されている
- 永住許可や帰化申請で、学習内容の理解度を確認する可能性がある
- 最大の論点の一つが、受講費用を誰が負担するかである
外国人の受け入れ人数が増える中で、言語や生活ルールを学ぶ機会を制度として整えることは、 地域社会との摩擦や孤立を防ぐための基盤づくりといえます。
受講費用は誰が負担するのか
就労系在留資格では受け入れ企業の負担が中心
既存の外国人受け入れ制度では、日本語や法制度などの学習費用を、 受け入れ企業や関係機関が負担する仕組みが中心です。
技能実習制度では、事実上、受け入れ企業や監理団体が負担しており、 育成就労制度では受け入れ企業が費用を負担する仕組みとなる予定です。
特定技能制度でも、原則として受け入れ企業または送り出し機関が、 日本語学習などの費用を負担することが推奨されています。
- 外国人本人が受益者として一部を負担する
- 人材を受け入れる企業が受益者として負担する
- 社会全体の安定のため国が公費を投入する
- 在留手続き手数料の引き上げ分を財源として活用する
ドイツ・韓国の社会統合制度
ドイツ
ドイツでは2005年から、ドイツ語を話さない外国人に対し、 言語や社会知識を教える「社会統合コース」の受講を義務づけています。
費用は連邦政府の国家予算と、受講する外国人本人の双方が負担する仕組みです。
韓国
韓国では2009年から社会統合プログラムを公費で実施してきましたが、 2025年から一部について受講者負担が導入されています。
公費のみ、本人負担のみではなく、国と受講者が費用を分担する方式が 海外では採用されています。
専門家としての見解
外国人が日本語や社会ルールを学ぶことは、 外国人本人の生活を安定させるだけでなく、地域社会との摩擦や孤立を防ぐことにもつながります。
そのため、学習プログラムは外国人本人だけの利益ではなく、 受け入れ企業、地域社会、行政を含む社会全体の利益になる制度と考えるべきです。
行政書士として
永住許可や長期滞在資格の条件としてプログラム受講が求められる場合、 在留資格申請の実務にも大きな影響が生じます。
単に受講証明書を提出するだけなのか、 試験や面談によって理解度まで確認されるのか、 具体的な審査方法を慎重に見極める必要があります。
登録支援機関として
就労系在留資格では、企業が費用を負担する方向が強まる可能性があります。 企業にとっては新たな負担となりますが、外国人社員の定着、 職場内の意思疎通、安全管理、地域トラブルの防止につながる投資でもあります。
登録支援機関には、生活オリエンテーションや定期面談に加え、 学習機会の提供や受講状況の管理が求められる可能性があります。
日本語・生活学習は、
外国人本人だけに負担を求めるものではなく、
社会の分断を防ぎ、安定した共生社会を築くための
社会的な投資
として考える必要があります。
まとめ
政府は、在留外国人が日本語や日本社会のルールを学ぶ 「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の創設に向け、 有識者会議で本格的な検討を始めました。
令和10年度にも試行される予定で、永住許可や長期滞在資格の申請条件とすることや、 永住・帰化審査で理解度を確認することも検討されています。
最大の論点の一つは受講費用の負担です。 外国人本人、受け入れ企業、国のいずれか一者だけに負担させるのではなく、 制度の目的や受益の範囲に応じて分担する仕組みが求められます。
外国人が日本語と生活ルールを学び、 地域社会の一員として安心して生活できる環境を整えることは、 将来の社会分断を防ぐための重要な社会基盤となります。
※本記事は、報道された「日本語・生活学習プログラム(仮称)」に関する内容をもとに、 外国人雇用、在留資格および支援実務との関係が分かりやすくなるよう整理したものです。
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