外国人の不法残留摘発を強化、入管が200人超を緊急増員へ
入管政策・最新動向
外国人の不法残留摘発強化へ。入管職員200人超を緊急増員。不法残留・不法就労対策と在留資格審査への影響
出入国在留管理庁が、不法残留外国人の摘発や不法就労の実態調査を強化するため、 入国警備官・入国審査官を合計200人超、年度途中に緊急増員する方針 を固めたと報じられました。
増員は摘発体制の強化だけではなく、在留資格申請の迅速化・厳格化、書面だけでは把握できない就労実態の調査、水際対策にもつながるとされています。
今回の動きが、外国人本人、受入れ企業、登録支援機関、行政書士などの実務にどのような影響を与えるのか、報道内容をもとに整理します。
今回の増員方針のポイント
政府は、関連政令の改正を2026年7月末にも閣議決定する方針とされています。
報道された人数は、入国警備官約50人と入国審査官約180人で、合計すると200人を超える規模です。
増員の背景にある不法残留者の高止まり
報道によると、不法残留者数は2020年1月1日時点で約8万3,000人、2026年1月1日時点でも約6万8,000人とされ、高止まりの状態が続いています。
在留期間を過ぎても日本に滞在し続ける不法残留は、それ自体が入管法上の問題となるだけでなく、在留資格で認められていない仕事への従事、偽装就労、地下経済への流入などにつながるおそれがあります。
今回の増員は、単に申請件数の増加へ対応するためではなく、違反調査・摘発・実態確認を同時に強化する政策と考えられます。
入国警備官約50人を増員し、摘発体制を強化
入国警備官は、不法残留、不法入国、資格外活動などの入管法違反について、違反調査、収容、退去強制手続などを担当します。
今回は約50人を増員し、不法就労者が最も多いとされる茨城県へ集中的に配置する方針が報じられています。
外国人を雇用する企業に対しても、在留カード、在留期限、就労可能な業務、届出状況、実際の勤務内容などについて、これまで以上に確認が行われる可能性があります。
入国審査官約180人を増員し、審査と実態調査を強化
入国審査官は、空港・港湾での上陸審査、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、永住許可申請などの審査を担当します。
報道では約180人を増員し、在留外国人の増加によって逼迫している審査の迅速化・厳格化を進めるほか、書面審査だけでは見抜けない不法就労の実態調査を強化するとされています。
増員によって審査が単純に早くなるとは限らず、事実確認や追加資料の提出、勤務先への調査が増える可能性もあります。
在留資格審査で確認が強まりやすいポイント
今後は申請書や雇用契約書の形式だけでなく、外国人本人が実際にどのような活動を行っているか、申請内容と就労実態が一致しているかが、より重視されると考えられます。
申請内容と実際の業務
在留資格で認められた職種・業務内容と、現場で担当している仕事が一致しているか。
雇用契約と勤務実態
給与、勤務時間、勤務場所、所属先、指揮命令関係などが契約書と一致しているか。
転職・退職後の届出
所属機関変更、契約終了、新たな契約の締結などについて、法定期間内に届出をしているか。
在留カード・在留期限
有効な在留カードか、在留期限を経過していないか、就労制限の内容を確認しているか。
受入れ企業の実体
事業の実在性、業務量、雇用の必要性、社会保険・税務・労務管理などに問題がないか。
適法に在留する外国人と混同してはいけない
今回の対策の中心は、在留期間を超えて滞在する不法残留者や、在留資格の範囲を逸脱して働く不法就労など、入管法上の違反があるケースです。
有効な在留資格を持ち、認められた活動を行い、必要な届出をして生活している外国人まで一括して問題視するものではありません。
不法残留・不法就労への対応強化と、適法に生活・就労する外国人の権利保護は、分けて考える必要があります。
外国人を雇用する企業の確認チェックリスト
- ✓ 在留カードの原本を確認し、在留期限と就労制限を把握しているか
- ✓ 在留資格で認められた業務と、実際の担当業務が一致しているか
- ✓ 雇用契約書、賃金台帳、出勤簿、業務日報などを整備しているか
- ✓ 転職、退職、所属機関変更などの届出が適切に行われているか
- ✓ 名義貸し、派遣先任せ、資格外業務への常態的従事がないか
関係者に求められる対応
外国人本人
在留期限、転職・退職時の届出、資格外活動許可の有無を確認し、在留資格で認められた範囲を超えて就労しないことが重要です。
受入れ企業
在留カードの確認だけで終わらせず、実際の担当業務、勤務場所、雇用条件、届出状況を継続的に管理する必要があります。
登録支援機関
特定技能外国人の勤務状況や生活状況を定期面談などで把握し、契約内容と実態に相違がある場合は、受入れ企業へ改善を求めることが必要です。
行政書士
申請書類の作成だけでなく、過去の在留経過、所属機関の変更、実際の業務内容、届出履歴を確認し、申請内容と実態の整合性を慎重に検討する必要があります。
行政書士としての見解
今回の増員方針は、不法残留者の摘発強化に注目が集まりやすいものの、実務上は、在留資格審査の迅速化・厳格化と、就労実態の確認強化にも大きな意味があります。
これまで書面上の説明で審査されていたケースでも、勤務先の実態、本人の具体的な業務、雇用契約との整合性、転職後の届出などについて、より丁寧な確認が行われる可能性があります。
一方で、人員が増えることにより、長期化している在留資格審査が適正に迅速化されるのであれば、適法に申請する外国人や受入れ企業にとっては肯定的な効果も期待できます。
重要なのは、審査の迅速化だけを期待するのではなく、申請内容と実態が一致している状態を日常的に整えておくことです。
今後確認すべき事項
今回の内容は報道段階の方針であり、増員人数、配置先、採用時期、具体的な運用方法は、関連政令の改正や出入国在留管理庁の正式発表を確認する必要があります。
- 2026年7月末に予定される関連政令改正の内容
- 入国警備官・入国審査官の具体的な配置先
- 不法就労の実態調査が重点化される業種・地域
- 在留資格審査の標準処理期間への影響
- 外国人政策に関する新たな有識者会議の議論
まとめ
出入国在留管理庁は、不法残留外国人の摘発や不法就労の実態調査を強化するため、入国警備官と入国審査官を合計200人超、年度途中に緊急増員する方針です。
入国警備官は約50人増員され、違反調査や摘発体制を強化します。入国審査官は約180人増員され、在留資格審査の迅速化・厳格化、書面だけでは把握できない就労実態の調査、水際対策を強化するとされています。
外国人を雇用する企業には、在留カードの確認だけでなく、在留資格で認められた業務と実際の勤務内容が一致しているかを継続的に確認することが求められます。
また、不法残留・不法就労への対応強化と、適法な在留資格を持つ外国人を一括して問題視することは区別しなければなりません。
今後は、正式な政令改正や出入国在留管理庁の発表を確認しながら、申請書類と雇用・就労実態の整合性をこれまで以上に丁寧に管理する必要があります。
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