外国人の出国後に住民税滞納が18.6%|徴収漏れが起きる理由と企業・本人の注意点
外国人雇用・税務
外国人の出国後、住民税の滞納額割合18.6%|なぜ徴収漏れが起きる?企業・外国人が確認すべきこと
日本で働いた後に出国した外国人について、 2024年度に納めるべき住民税額のうち、18.6%が滞納となっていた ことが報じられました。
日本人を含む出国者全体の滞納額割合は4.6%とされており、 外国人の出国者では徴収できていない住民税の割合が相対的に高くなっています。
ただし、この数字だけを見て 「外国人の18.6%が税金を払っていない」と理解するのは正確ではありません。 なぜ出国時に住民税の徴収漏れが起きやすいのか、 住民税の仕組みと外国人雇用の実務の両面から整理します。
今回の報道で押さえておきたい数字
18.6%は「外国人の18.6%が滞納した」という人数割合ではありません。 納めるべき住民税額に対する滞納額の割合です。
なぜ出国した後にも住民税が残るのか
個人住民税は、原則として その年の1月1日時点で住所がある市区町村が、前年の所得を基に課税 します。
そのため、1月1日に日本に住所があり、その後に退職・帰国した場合でも、 その年度の住民税の納税義務がなくなるわけではありません。 年の途中で国外へ転出しても、すでに成立した納税義務は残ります。
一方、住民税の納税通知は通常6月頃に行われます。 この 「前年の所得に対して翌年度に課税される」という時間差 が、出国者にとって制度を分かりにくくする要因の一つです。
出国時に徴収漏れが起こりやすい理由
報道では、制度の周知不足に加え、外国人が日本を出国した後は 徴収が難しくなることが背景として指摘されています。
帰国時点では翌年度に住民税が発生することを本人が十分理解していないケースがあります。
6月の納税通知前に出国すると、国内に送られる通知を本人が受け取れなくなる場合があります。
出国後に本人に代わって通知を受け取り、納付手続きを行う人がいないと、徴収が難しくなります。
「18.6%」をどう見るべきか
今回の数字は重要ですが、読み方には注意が必要です。
第一に、18.6%は 滞納した外国人の人数割合ではなく、税額ベースの割合 です。 報道でも滞納人数は不明とされています。
第二に、調査には全国の自治体のうち約1,100自治体が回答しており、 未回答の自治体もあります。 したがって、この数字をそのまま全国すべての外国人に当てはめることはできません。
「外国人だから納税しない」と単純化するのではなく、 出国時の制度説明、徴収方法、納税管理人の選任など、 制度上の課題も含めて考える必要があります。
外国人が出国する前に確認すべきこと
国外へ転出する場合、住民税が残っている、または今後課税される可能性があるときは、 出国前に市区町村へ確認しておくことが重要です。
- ✓ 現在の住民税に未納額がないか確認する
- ✓ 1月1日時点の住所と前年所得から、出国後に課税される住民税がないか確認する
- ✓ 必要に応じて納税管理人を選任する
- ✓ 出国前に全額納付できる場合は、市区町村へ納付方法を確認する
外国人を雇用する企業が確認したいポイント
本人任せにするのではなく、退職・帰国が決まった段階で、 会社側から住民税の仕組みを説明しておくことも重要です。
- ✓ 退職・帰国予定日を早めに把握する
- ✓ 給与から特別徴収している住民税の残額を確認する
- ✓ 必要な「給与所得者異動届出書」等を自治体へ提出する
- ✓ 出国前に納税管理人や一括徴収について本人へ案内する
※具体的な徴収方法や必要書類は退職時期や自治体によって異なるため、本人の住所地の市区町村へ確認してください。
行政書士としての見解
今回の18.6%という数字だけを見ると、 「外国人の納税意識」の問題として捉えられがちです。 しかし、実務ではそれだけで説明することはできません。
住民税は前年所得を基準として翌年度に課税されるため、 日本の税制度に慣れていない外国人にとって、 「退職して給与がなくなった後、あるいは日本を出国した後にも税金が残る」 という仕組みは理解しにくい面があります。
もちろん、納税義務がある以上、外国人であることを理由に免除されるものではありません。 一方で、徴収漏れを減らすためには、本人の責任だけでなく、 雇用企業、自治体、支援関係者が出国前に制度を分かりやすく説明し、 納付方法を具体的に案内する仕組みも重要だと考えます。
外国人雇用では「入国・在留」だけでなく、 退職・帰国時の税金、社会保険、各種届出まで含めた 「出口の手続」を整えておくことが重要です。
まとめ
報道によると、日本で働いた後に出国した外国人について、 2024年度に納めるべき住民税額のうち18.6%が滞納となっていました。 日本人を含む出国者全体の4.6%と比べても高い割合です。
一方、18.6%は人数ではなく税額の割合であり、 滞納人数は明らかになっていません。 また、調査に回答していない自治体もあるため、 数字の読み方には注意が必要です。
住民税は1月1日時点の住所と前年所得を基準に課税されるため、 年の途中で出国しても納税義務が残る場合があります。 出国する外国人は、未納額、今後の課税、納税管理人の選任などを 出国前に確認することが重要です。
外国人を雇用する企業側も、 退職・帰国が決まった時点で住民税の残額や必要な届出を確認し、 本人に分かりやすく説明する体制を整えておくことが、 今後さらに求められるでしょう。
外国人材の雇用・在留資格について
当グループでは、在留資格申請、外国人材の紹介、 登録支援機関としての支援までワンストップで対応しています。 外国人材の採用・受入れをご検討の企業様は、お気軽にご相談ください。

