特定技能申請の合格証を厳格確認 入管が試験結果を全件照会
特定技能・注意喚起
【注意喚起】特定技能の偽造合格証による不許可事例
日本語試験は2026年1月から全件照会へ
特定技能の在留資格更新許可申請において、 偽造された技能評価試験の合格証 が提出され、不許可となる事例がありました。
本件では、以前に行われた転職に伴う在留資格変更許可申請では、 合格証について特段の指摘はなく、変更が許可されていました。
しかし、今回の更新申請の審査で改めて確認が行われ、 合格証の問題が表面化しました。 近時の特定技能審査における確認の厳格化・適正化を示す事例といえます。
今回の事例で起きたこと
特定技能の在留資格を取得するためには、原則として、 希望する分野の技能評価試験と日本語試験に合格する必要があります。
試験ルートによる申請では、日本語試験と技能試験の合格が 在留資格の重要な要件となります。
提出された合格証が偽造されたものであれば、 過去に在留資格の許可を受けていた場合であっても、 資格要件を満たしていることを確認できず、 更新や変更の申請が不許可となる可能性があります。
特定技能には主に2つの取得ルートがある
技能実習ルート
技能実習2号を良好に修了するなど、 一定の要件を満たした外国人が、 原則として日本語試験と技能試験を免除されて 特定技能へ移行するルートです。
試験ルート
日常生活に必要な日本語能力を測る試験と、 就業を希望する分野の技能試験の両方に合格して、 特定技能を取得するルートです。
制度創設当初は技能実習ルートが大部分を占めていましたが、 近年は試験に合格して特定技能を取得する外国人が大きく増加しています。
試験ルートの増加に伴い、 入管が確認する日本語試験や技能試験の合格証も増えており、 合格状況を正確に確認する仕組みの整備が重要となっています。
日本語試験は2026年1月から申請者全員を照会
日本語試験の合格証明書の偽造対策として、 出入国在留管理庁は2026年1月から、 特定技能の申請者全員について、 日本語試験の合格状況を試験運営団体へ照会する運用を開始しました。
従来は、入管職員や試験運営団体の負担なども考慮し、 合格状況の照会は必要に応じた一部の申請に限られていました。
しかし、偽造された日本語試験の合格証を使用して 特定技能の在留資格を取得する事件が発生し、 入管が申請時に偽造を見抜けなかったことが問題となりました。
これを受けて、従来の一部照会から、 申請者全員の合格状況を確認する運用へと変更されました。
日本語試験については、現在、 合格証の見た目だけではなく、 試験運営団体が保有する合格情報との照合が行われています。
特定技能で利用される主な日本語試験
日本語能力試験
公益財団法人日本国際教育支援協会などが実施する試験です。 特定技能1号では、原則としてN4以上が求められます。
国際交流基金日本語基礎テスト
独立行政法人国際交流基金が実施する、 特定技能1号の日本語能力要件に利用される試験です。
試験運営団体は、出入国在留管理庁からの合格状況の照会に対応しており、 提出された合格証の内容と実際の合格記録が確認されます。
技能試験も全件照会に向けて調整中
出入国在留管理庁は、日本語試験だけでなく、 特定技能の各分野で実施される技能試験についても、 申請者全員の合格状況を照会する方向で調整しています。
技能試験は、外食業、飲食料品製造業、介護、建設など、 各分野を所管する省庁や試験実施機関が異なります。
そのため、出入国在留管理庁は、 各試験の所管省庁や運営団体と、 合格情報を確認する仕組みについて調整を進めています。
今回のような技能試験の合格証についても、 今後は日本語試験と同様に、 合格情報が全件照会される運用となる可能性があります。
前回の申請で許可されていても問題がないとは限らない
本件では、今回の更新申請より前に、 転職に伴う在留資格変更許可申請が行われていました。
前回の申請では、技能評価試験の合格証について特段の指摘はなく、 在留資格の変更が許可されていました。
しかし、当時指摘されなかったことは、 合格証の真正性について入管が将来にわたって保証したことを意味しません。
後の更新申請や変更申請において、 過去の申請資料が改めて確認され、 以前は表面化しなかった問題が判明する場合があります。
「前回の申請で指摘されなかったから、今回も問題ない」 という判断はできません。
従来の一部照会から全件照会へ
従来、日本語試験の合格状況については、 すべての申請で運営団体への照会が行われていたわけではありません。
職員や試験運営団体の負担などを考慮し、 必要に応じて一部の申請について照会する運用にとどまっていました。
その結果、偽造された合格証が提出されても、 申請時に偽造を見抜けず、 在留資格が許可される事案が発生していました。
こうした事案を受けて、 2026年1月から日本語試験については 申請者全員の合格状況を確認する運用へ変更されています。
近時の審査は、単に外国人に対して厳しくなったというよりも、 偽造書類による制度の不正利用を防ぎ、 特定技能制度の信頼性を確保するための 審査の厳格化・適正化が進んでいると捉えるべきです。
ベトナム人による偽造合格証事件が運用変更のきっかけ
日本語試験の全件照会が始まるきっかけの一つとなったのが、 大阪府警が摘発した日本語試験の偽造合格証事件です。
この事件では、偽造された日本語基礎テストの合格証を入管へ提出し、 特定技能の在留資格を取得して働いていた外国人などが摘発されました。
また、介護分野の特定技能に必要となる 介護日本語評価試験の偽造合格証も調達されていたとされています。
偽造された合格証を使用した虚偽申請は、 在留資格の不許可や取消しにとどまらず、 入管難民法違反などとして刑事責任を問われる可能性があります。
技能試験の合格証は見た目だけでは判断が難しい
日本語試験については全件照会が始まっていますが、 技能試験については、行政書士、登録支援機関、 受入れ企業が合格情報を直接確認できる場面は限られています。
合格証の様式や記載内容を確認することはできますが、 見た目だけで偽造の有無を完全に判断することは困難です。
氏名、受験番号、合格日などが精巧に編集されている場合には、 通常の書類確認だけで偽造を見抜くことが難しいケースもあります。
CBT方式では試験終了時に結果が表示される
特定技能の技能評価試験の多くは、 パソコンを使用するCBT方式で実施されています。
CBT方式で行われる試験では、 試験終了時にパソコン画面へ結果が表示され、 受験者本人がその場で結果を確認できるものがあります。
そのため、実際に受験した本人であれば、 受験日や試験会場だけでなく、 試験終了時にどのような結果が表示されたのか、 合格をいつ確認したのかについても説明できると考えられます。
正式な結果通知書や合格証は、 受験後に試験運営機関のマイページなどから 確認・取得する仕組みとなっています。
合格証だけでなく「実際に受験した事実」を確認する
技能試験の合格証について、 発行機関のシステム上で真正性を直接確認することが難しい場合には、 本人が実際に試験を受験した事実を丁寧に確認することが重要です。
実際にCBT試験を受験したか
本人が試験会場へ行き、 パソコンを使用した試験を受験したか確認します。
受験日・会場を説明できるか
いつ、どこの試験会場で受験したのか、 本人が具体的に説明できるか確認します。
予約資料が残っているか
受験予約メール、受験確認書、受験料の支払記録などが 残っているか確認します。
試験結果を説明できるか
試験終了時に画面へ表示された結果を確認し、 その内容を説明できるか確認します。
行政書士・登録支援機関・受入れ企業に求められる確認
行政書士
過去に同じ合格証で許可を受けている場合でも、 その事実だけをもって真正な書類であると判断せず、 本人への聞き取りや関連資料の確認を行うことが重要です。
登録支援機関
試験の受験日、試験会場、試験終了時の結果などを本人から聞き取り、 受験の経緯を確認できる資料を可能な範囲で確認することが望まれます。
受入れ企業
採用面接時に、試験の受験時期、試験会場、 試験内容や結果について本人へ確認することで、 提出された合格証と本人の説明に食い違いがないかを 確認できる場合があります。
技能試験の合格証確認チェックリスト
- ✓ 過去に許可されたことだけを理由に、合格証が真正であると判断していないか
- ✓ 合格証に記載された氏名、生年月日、受験番号を本人情報と照合したか
- ✓ 本人が受験日と試験会場を具体的に説明できるか
- ✓ 受験予約メール、受験確認書、試験案内などが残っているか
- ✓ 受験料の支払記録を確認できるか
- ✓ 本人が試験当日の受付や受験の流れを説明できるか
- ✓ 試験終了時にパソコン画面へ表示された結果を本人が説明できるか
専門家としての見解
本件で重要なのは、合格証の問題が、 前回の転職に伴う在留資格変更許可申請では 表面化しなかった点です。
従来、日本語試験の合格状況は全件照会ではなく、 必要に応じて一部の申請について確認する運用でした。
そのため、精巧に偽造された合格証について、 書面上の確認だけでは問題を発見できず、 在留資格が許可される事案が発生していました。
2026年1月からは、日本語試験について、 申請者全員の合格状況が試験運営団体へ照会されています。 技能試験についても、全件照会に向けた調整が進められています。
したがって、以前の申請で指摘されなかった事項が、 今回の更新申請や今後の変更申請で判明する可能性は、 これまで以上に高まっていると考えられます。
これは単に審査が厳しくなったということではなく、 偽造書類による不正な在留資格取得を防止し、 特定技能制度の信頼性を確保するための 審査の適正化といえます。
行政書士、登録支援機関、受入れ企業は、 過去の許可実績だけを信用するのではなく、 申請の都度、試験の受験事実や合格までの経緯を 改めて確認する姿勢が求められます。
前回の申請で指摘されなかったことは、 合格証の真正性が保証されたことを意味しません。 近時は、試験運営団体への照会を含む審査の適正化が進んでいます。
まとめ
特定技能の在留資格更新許可申請において、 偽造された技能評価試験の合格証が提出され、 不許可となる事例がありました。
本件では、前回の転職に伴う在留資格変更許可申請でも 合格証が提出されていましたが、 当時は特段の指摘がなく、変更が許可されていました。
しかし、2026年1月から、 日本語試験については特定技能の申請者全員の合格状況を 試験運営団体へ照会する運用が始まっています。
技能試験についても、 全件で合格状況を照会する方向で、 出入国在留管理庁と各試験の所管省庁との調整が進められています。
過去の申請で許可されている場合でも、 後の申請で過去の資料が再確認され、 以前は表面化しなかった問題が判明する可能性があります。
現在、技能試験の合格証については、 行政書士、登録支援機関、受入れ企業が 発行機関の合格情報を直接確認できる場面は限られています。
そのため、合格証の記載内容だけではなく、 本人が実際にCBT試験を受験したか、 受験日や試験会場を説明できるか、 受験予約メールなどが残っているかを確認することが重要です。
「前回の申請で許可されたから問題ない」と判断するのではなく、 申請の都度、資格要件と受験の事実を改めて確認することが、 近時の審査の厳格化・適正化に対応するうえで求められます。
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